生き残りを賭けた怒涛の二日間。
いや、凄かった。この二日間の闘いは、筆舌に尽くしがたい。
3/11 第1試合で、それだけは許されないという、
ボーダーライン6位のTEAM RAIDEN / 雷電 瀬戸熊直樹の
まさかのラスを受けて、
第2試合に挑んだ黒沢咲。
5本場までもつれた南4局。
満貫ツモでのトップ条件に立たされた黒沢は、
連続で急所のラス牌を引き、
ドラ2赤ドラ1で打点充分な聴牌を入れる。
ただ、この聴牌は役無しフリテンの待ち。
しかも、この待ちも1枚残り。
しかし、黒沢はこれをツモ!!。
生き残りに、何とか望みをつないで、
最後の闘いの結果を待つことになった。
そして、3/12、その最後の闘い。
連続トップが生き残りの条件となった
セガサミーフェニックスは、
昨シーズンMVPの魚谷侑未に第1試合を託した。
その魚谷。開局直後の東1局0本場でリーチをかけるも、
その宣言牌が、魚谷同様ボーダーラインの下にいる、
親番の7位U-NEXT Pirates 石橋伸洋のあたり牌。
続く東1局1本場も赤ドラ2枚を使った
打点充分のリーチをかけるも、流局。
さらに東2局は、タンヤオ、赤ドラ1枚、高め三色同順で、
フリテンながらも3面張のリーチをかけるも、
この3面張が、牌山に残っていない。
追いかけリーチをかけた渋谷ABEMAS 白鳥翔の
ツモ和了りで、この局も和了れず。
親番の東3局では、白鳥の先制リーチに対して、(ドラ
)の、
和了りも打点も期待できる一向聴から、
白鳥が比較的早い巡目で切っているを頼りに
を選ぶと、
これがで張っていた白鳥にあたり。
「たられば」で申し訳ないが、もしここで魚谷がを選んでいたら、
白鳥への放銃も回避できて、さらに親満貫の高打点も期待できた。
魚谷は、序盤のこの3局のうち、一回でも上がっていたら
トップの可能性は充分にあった。
しかし、現実として、すべて空振ってしまった魚谷は、
東場を終えた時点で5,500のラス目。
トップ目の白鳥が61,800まで稼いでいたので、その差56,300。
その後も、トップを狙う魚谷の親番、南3局。
△4,100まで点棒を減らした魚谷は、この親番を逃すと、
トップの可能性が遥か彼方へと行ってしまうのだが、
この局、KADOKAWAサクラナイツ 内川幸太郎の
着順キープのロン和了りで逃してしまう。
トップを狙った魚谷、そしてセガサミーフェニックスは、
この試合を△6,100のラスで終え、生き残りの可能性は、
限りなくゼロに近づいてしまった。
セガサミーフェニックス同様、
生き残りに、条件が掛かっていたのは、
7位のU-NEXT Pirates。
最低でもトップ1回と2着1回が必要だったU-NEXT Piratesは、
この第1試合を、石橋が34,900の2着で終えた。
生き残りをかけて第2試合に挑んだのは当然、船長小林剛。その条件は、35,700のトップ。
最後の親番を迎えた南3局0本場での点数状況は以下の通り。
チーム | 選手 | 得点 | |
---|---|---|---|
西家 | KADOKAWAサクラナイツ | 内川幸太郎 | 29,800 |
北家 | 渋谷ABEMAS | 多井隆晴 | 19,000 |
東家 | U-NEXT Pirates | 小林剛 | 27,500 |
南家 | セガサミーフェニックス | 近藤誠一 | 23,700 |
小林を含めた全員にトップの可能性が充分に残っているし、
U-NEXT Piratesのセミファイナル通貨条件である、35,700まで
8,200と、これも充分に可能性がある。
この親番で条件をクリアして、できる限りの点棒を、稼ぎ取りたいところだ。
とにかく連荘したい小林は10巡目、(ドラ
)のピンフ、赤ドラ1のリーチをかける。しかしこの待ち牌は、山に
が1枚しか残っていない。
TEAM RAIDEN / 雷電 黒沢咲は、
その最後の1枚をツモりあげて、トップを獲り、
望みを繋いだ。
小林も、その最後の1枚をツモりあげることを期待されたが、
結果は流局。
次局、南3局1本場で、小林がもらった配牌は、(ドラ
)
悪い。あまりにも悪すぎる。和了るどころか、聴牌すら見えない。一体、どの牌を残して、どの手順で聴牌までたどり着けば良いのか、皆目見当がつかない。
小林は、(おそらく)123の三色同順と役牌の重なりを期待しつつ、を切り出していく。
12巡目。小林は、あの手牌を、なんとかまで、持って行っており、ここで、上家の渋谷ABEMAS 多井隆晴が切った
を両面チー!。
形式聴牌での連荘狙いに打って出る!!。
このチーは他家から見ても、役が無いことは見え見えだ。
小林だって、そんなことは重々承知だ。
しかし、そうでもしないと、この試合が、
U-NEXT Piratesのレギュラーシーズンが終わってしまう。
次順、小林はを引き込み、さらに、その次順に
を引き入れ、
の形式聴牌を完成させる!。
これで、自分の最後のツモまでを滞りなく切ることができたら、次局に望みを託すことができる。
その、最後のツモ。小林が引いたのは。聴牌維持のため、この牌をツモ切ると、
「ロン」
無情にもそれは、KADOKAWAサクラナイツ 内川幸太郎の当たり牌。5,200(+300)の放銃で、小林の条件は、最後の親番を逃しての、南4局のみで11,700の和了りトップ。
つまり、跳満以上が必要となった。
もちろん、これまでの試合でも、
オーラス跳満和了りでの逆転トップは、
幾度となくあった。
しかし、小林に残された和了りは、これのみだ!!。
南4局0本場。親は8位セガサミーフェニックスの近藤誠一。近藤も、10万点以上のトップをとれば、セミファイナル出場の権利を得られるため、当然このラス親は、石にかじりついてでも、連荘を狙ってくるはずだ。
7巡目。その近藤から(ドラ
)のリーチがかかる。
これで、小林は
- 近藤への放銃
- 近藤のツモ和了り
- 小林ノーテン
のいずれかになってしまうと、次局の小林の条件が倍満以上、下手をしたら、3倍満以上になってしまうため、セミファイナル出場が非常に厳しいものになってしまう。
この大ピンチの近藤のリーチに、
ラス抜けを狙った渋谷ABEMAS 多井隆晴が放銃し
条件変わらずで、首の皮一枚つながる。
次局、小林は配牌で場風が槓子!!。いつもであれば、一向聴まで暗槓しないか、
を1枚切って暗刻にするところを、是が非でも跳満がが欲しい小林は、第一ツモで暗槓!。槓ドラに1枚持っている
がのり、リーチをすれば、裏ドラが2枚見れるため、跳満にグッと近づいた!!。
しかし、しかし5巡目。役無し両面待ち聴牌を張ったKADOKAWAサクラナイツ 内川幸太郎からリーチがかかる。
そして…
その3順後。
内川から、「ツモ」の発声。
これで、U-NEXT Piratesとセガサミーフェニックスの
奇しくも昨シーズン優勝チームと準優勝チームの
レギュラーシーズン敗退が決まった。
最後に勝負を分けたもの。
今シーズンのレギュラーシーズンが終わった。
繰り返しになってしまうが、
昨シーズン優勝のU-NEXT Piratesと
準優勝のセガサミーフェニックスの敗退が決まった。
一体、この結果になってしまった要因は、何だったのか?
実力差?
集中力の差?
精神力の差?
意気込みの差?
いや、いずれも違う。
レギュラーシーズンは各チーム90試合の長丁場。
もし、チーム間に実力差があるのなら、
もし、各選手が、一度でも、気を抜いた一打を打っていたのなら、
もっと早くに、敗退チームが決まっていたはずだ。
U-NEXT Piratesには、トップ1回2着1回で、
セガサミーフェニックスは、3万点以上のトップ2回、
という、現実的な条件が残っていた。
とても、実力差や意気込みの差とは、考えにくい。
では、勝敗を分けたものは、一体何か?
私は、敢えて「運」だと言いたい。
TEAM RAIDEN / 雷電 黒沢咲は、
フリテンで、なおかつラス牌の和了り牌をツモり上げた。
「運」が、あった。
セガサミーフェニックス 魚谷侑未は、
東場で、3局リーチをかけたが、いずれも実らなかった。
「運」が、なかった。
U-NEXT Pirates 小林剛は、この牌さえ通れば
希望と繋げられる、という牌が通らなかった。
「運」が、なかった。
こう言ってしまうと、
「麻雀は結局運ゲーなの?」
と言う人もいるだろう。
しかし、それは違う。
Mリーグに出場する選手全員が、
実力も意気込みも、非常に高いレベルで拮抗しているから、
これらで、勝敗を決することができないから、
最後の最後は、ほんの僅かの「運」にならざるを得ないのだ。
最後の最後は、運勝負になってしまうからこそ、
麻雀は、かくも魅力的で、
かくも残酷なものなのだ、
と、私は言いたい。
(牌画には、麻雀王国の牌画入力ツール「パイガ」を使用させて頂いています。)
セミファイナルがスタート!!
セミファイナルの日程は
4/12(月)
- EX風林火山
- KADOKAWAサクラナイツ
- KONAMI麻雀格闘倶楽部
- 渋谷ABEMAS
4/13(火)
- 赤坂ドリブンズ
- KONAMI麻雀格闘倶楽部
- 渋谷ABEMAS
- TEAM RAIDEN / 雷電
4/15(木)
- 赤坂ドリブンズ
- EX風林火山
- KADOKAWAサクラナイツ
- TEAM RAIDEN / 雷電
4/16(金)
- 赤坂ドリブンズ
- KADOKAWAサクラナイツ
- KONAMI麻雀格闘倶楽部
- 渋谷ABEMAS
Mリーグ観戦はabemaプレミアムで!!

セミファイナルも、乞うご期待!!
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